シアトルのTalentSpringが本日(米国時間5/18)ローンチした。求職サービスマーケットに革命を起こす可能性のあるユニークな存在だ。
TalentSpringはMicrosoftで以前Windows Live開発チームのリーダーだったBryan StarbuckとAndrew Boardmanによるスタートアップだが、Diggの背後にある投票の考え方を求職サービスにもちこんでいる。もっともこのサービスを無数にできつつあるDiggクローンといっしょにするのは公平ではない―しかしなかなか説明が難しいサービスだ。
従来の求職サービスと同様、TalentSpringも新しい勤め先、ポストを探しているユーザーからよせられた履歴書のデータベース機能を提供する。ただし従来の求職サービスは、一般に、ユーザーの居住地や経験などのカテゴリーに基づいて履歴書を検索するのが主体だった。これに対してTalentSpringではユーザーの履歴書をDigg的な投票システムによってランクづけし、高い評価を得た履歴書がトップに表示され、逆に評価の低いものは掲載順位が下がるようになっている。
履歴書をランクづけするのは他の求職者だ。このサービスに登録すると、履歴書を投稿してTalentSpringに自分のデータが掲載されるようになる前に、ユーザーは自分が応募しているのと同じ分野の他の求職者の履歴書12件を評価しなければならない。
評価システムは1対1の比較を12回繰り返すかたちをとる。ユーザーには2つの履歴書が同時に提示され、どちらがその分野でより適任と思われるか答えねばならない。
私はBryan Starbuckにどうしてたった12回だけの投票なのか尋ねてみた。StarbuckによるとTalentSpringはこのシステムを雇用者、リクルート企業、求職者を対象に広汎にテストを繰り返してきており、その結果12回というのが最良という結論に達したのだそうだ。エンドユーザー(求職者)にとってあまり大きな負担にならずに、しかもTalentSpringが求職者を適切にランクづけするために十分な情報が得られる回数だということだ。
雇用者側としては1つのポストの求人広告に対して郵便とメールでそれぞれ300通もの応募が来るという状態はなんとしても避けたいわけで、面接に呼び出したい最終候補者を選び出すだけで何日もかかってしまう。TalentSpringの狙いは求人している職に対してもっとも適している候補者だけを選び出して求人側のこういった手間を省くことにある。投票によるランクづけに加えて求職側の条件と求人側の条件に基づいた独自のフィルターを通して最終候補者が絞り込まれることになる。たとえば、求職者が年俸10万ドル以上の職を探している場合、そのような職を提供している雇用者だけが紹介される。
StarbuckはTalentSpringをZillow.comとFareCast.comと比較した。これらのサービスではいずれも、高度な数学に基づいたデータマイニングを行っており、市場におけるトランザクションを両サイドから分析して、全体としての統合的な価値判断を提供している。
TalentSpringの料金は非常に競争力があると思われる。1件の求職について$195、さらに求職数無制限の各種パッケージが用意されている。
TalentSpringのサービスは広い範囲の求職・求人者に魅力あるものとなりそうだ。このサービスについて私の評価はいささか好意的過ぎるように見えるかもしれないが、実は私は以前求人担当を務めたことがあり、履歴書をより分ける作業がいかに大変なものか経験があるのだ。もしTalentSpringが人気を得て十分な数の求職者を集めることができるようなら、これは私自身も利用してみたいサービスだし、おそらく多くの人々も同じ意見だろうと思う。
TechCrunch Japanese アーカイブ » TalentSpring、求職サービスの新しい形を目指す
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