2007年度年末の特別号として出た
ハーバード・ビジネス・レビューでブラジルに本社がある『セムコ』という素晴らしい企業の存在を知った。
一見、記事を読むと全くの破天荒な考えにみえる。
セムコウェイを形作っているその考え方のいくつかを抜粋してみると、
-----------------------------------------------------------------------------------
セムコは「民主主義」「プロフィット・シェアリング」「情報共有」という三原則にのっとって経営されている。
当社の組織構造、社員の自由奔放、労使関係などは、いずれも三原則の結果なのだ。
セムコでは、「サークル型組織」というものを考察した。その最大の利点は、管理階層お3つ、つまり全社レベル、そして2つの業務レベルに激減できたことである。
他のアソシエート(一般社員)全員による面談と承認がない限り、採用や昇進は実施しない。またアソシエートたちは自分のボス、つまりパートナーやコーディネーターを選ぶことができる。
セムコでは、重要な決定は共同決定が原則であり、時には全社投票が行われる。
いずれにしても、階層組織と官僚組織に闘うためなのだ。
とにかくノルマ、マニュアル、ルール、規則といった類のものを撤廃した。
大組織というものは規則なしには動かせないし、動かないことをだれでも知っているが、同時に規則がくだらないものであることも、だれもが知っている。
たとえば、セムコには服装規定などというものはない。仕事中はきちんとした格好をしていなければならないという考えはばかげている。
また細々とした出張規定、たとえば役職別の宿泊費の上限とか、お客様と出かけた劇場のチケットは会社持ちなのかどうか、自宅への電話代は最大5分なのか10分なのかといったことは全廃した。
そのほか、保健室の南京錠、小口現金管理の検査など、社員がどろぼうするかもしれないという前提のものはいっさい止めた。
犯罪的な裏切りを告発しないという意味ではない。例外的な一部の人が、何かをくすねたり、ささいなものを着服したりするのを暴き立てることで、残り99%の社員を冒涜するようなまねが嫌なだけだ。
セムコでは、各事業部がプロフィット・シェアリング制度を設けている。
年に2度、各事業部の損益計算書に基づいて税引き後利益の23%を計算し、その額の小切手を各事業部のアソシエートたちによって選出された3人の同僚に渡す。
製品の価格は全員が知っている。コストもしかりである。全員に月次のバランスシートが与えられており、そこには各人が何を作ったか、青銅のコストはいくらか、時間外手当がいくら支払われているのかなど、正確に記されている。くわえて、社員たちは税引き後利益の23%は自分たちのものであることを承知している。
セムコでは、数字についてはひたすらうるさい。毎月5日目にははっきりするよう、4日目のうちに数字を出すことを求めている。
かように財務管理は厳密だが、そのほかについては、おしなべて寛容である。
社員たちは壁を好きな色に塗れる。自分の決めた時間に出社してよい。どんな格好でも良い。
要するに、自由奔放なのだ。
むろん、生産性と利益の関係を考え、行動するのも彼ら彼女ら自身である。
-----------------------------------------------------------------------------------
セムコに関する著書もいくつか出ているので、それを読めば更なる詳細が分かると思いますが、
この考えのもとにあるのは、社員の幸せ。いかに社員を幸せにするかということを念頭に考えられているようです。
経営のリスクとなりえる社員の管理を行うという発想も、社員の幸せを考えると、そもそもそんな人間はごくわずかでそのわずかな人間のため他の人間が被害をこうむるのはおかしいとなります。
ルールや規則などを撤廃するということは3000人以上いる大組織を統治する学問の経営学などとの考え方とは反しているのかもしれないが、結果として、辞職率はほぼ0%、売上は6年間に3500万ドルから2億1200万ドルへ急成長しており、ブラジルの大人気企業の一つとなっている。
ほかにも
・企業戦略、短期計画、長期計画がない
・会社のゴール、企業理念、長期予算がない
・作業員を監視・監督、指揮統制していない
・重役会議は出席したい人だれもが参加し、発言可能
などなど、本当に会社が個人を管理していない。
この方法がいいのか悪いかはまた別ですが、個々が自らを律することができればこれだけのことができる、組織は従来の考えに惑わされることはなく、全く新しい発想を取り入れることができるということ。
すごい会社に出会ったような気がしています。
このような既成概念にとらわれず、社員にも市場にも独自の価値を提供していける会社を作っていきたいですね。
それと、ハーバード・ビジネス・レビューお勧めです。
とにかく多数の企業のそれぞれの経営についてだったり、個人にスポットをあてた内容だったり。
それをすべて、歴史を参照、特に代表的な企業をもとに紐解いているので、いわゆる過去の成功体験という説得力があります。
コメント