というか、やっぱり自分からこんなことはやらなくて、ある種のレポートで必要だったので、やってみました。
レポートってことで、口調はカタめ。
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もっとも、「ビジョナリー」という言葉につられて、本書を「ビジョナリー・カンパニーの人物版」と思って読み進めると肩すかしを食らうことになる。ビジョナリーな組織とビジョナリーな人との間には決定的な違いがあるからだ。
ビジョナリーな組織は誰でも努力しだいで作り上げることが可能だが、ビジョナリーな人には、努力次第でなれるものではない。
本書ではほかにも「自分の生き甲斐に対して誠実である」「本能的、直感的に言語を使う」「思いがけない幸運に備えている」など、ビジョナリーな人に共通する項目があかされていく。ただ、それはビジョナリーな人の因数を分解して公約数を提示したのであって、ビジョナリーな人になるための方程式を示したものではない。
脇目も振らず、自分の好きなことに没頭するという意味で、ビジョナリーな人は「バランスの悪い人」と言える。ただ、短所を自分のこととして受け入れ、消化しているから、長所である突破力を殺さずに済む。組織はこうはいかない。少しでもバランスが悪いと、崩壊への坂道を転がってしまう。組織も人の集合体だが、集団になったとたんに成功への必須条件が変わる。当たり前なのだろうが、その違いを自然と認識させてくれる1冊だ。
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・出典
ワタミ社長 渡邉 美樹 「カリスマの公約数」『日経ビジネス』(日経BP社)
2007年5月28日号 P.71
・論評 これは、ワタミ社長の渡邉美樹氏が「ビジョナリーピープル」という本に対して、日経ビジネスの2007年5月号で綴った論評である。 「ビジョナリーピープル」とは、「ビジョナリーカンパニー」の著者として著名なジェリー・ポラス氏の最新作である。本書について、渡邉氏が論評を寄せているのだが、これがここ最近の中でも、非常に筋道の良い内容に仕上がっていると思う。そう素直に思う一方で、渡邉氏の経験則と私の経験不足からか、なかなか理解しがたい内容でもある。 最初に渡邉氏は、前作の「ビジョナリー・カンパニー」と本作「ビジョナリー・ピープル」の本質的な違いを、渡邉氏の経営者としての経験から分かり易く説明しており、ある種のビジネスマンであれば誰もが知っている「ビジョナリー・カンパニー」的な発想で本作を読み解くことの危うさを「ビジョナリーな組織とビジョナリーな人との間には決定的な違いがある。」と警告している。これは、本書の内容からというよりも、渡邉氏本人の意見である。 その違いを説明した上で、渡邉氏は「ビジョナリー・ピープル」は努力次第でなれるものではないと言う。まさにその通りだと思うが、組織となると、努力次第で作ることが出来るという。片方出来て、もう片方が出来ないということでもないような気がするのだが。 渡邉氏は更に、ビジョナリーな人には共通項があるが、それは公約数であって、方程式ではないと指し示す。「全ての要素は出しえない」ということであるとしても、その解は他に存在し、それを断言しているようなところからも、その本質迫る部分というか、経験談なら手がかりだけでも残してくれと突っ込んでしまう専門性ゼロの私には物足りない内容でもあった。
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