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私はいつも、会社のためにばかり働くな、ということを言っている。君達も、おそらく会社のために働いてやろうなどといった、殊勝な心がけで入社したのではないだろう。自分はこうなりたいという希望に燃えて入ってきたんだろうとと思う。
自分のために働くことが絶対条件だ。一生懸命に働いていることが、同時に会社にプラスとなり、会社をよくする。会社だけよくなって、自分が犠牲になるなんて、そんな昔の軍隊のようなことを私は要求していない。自分のために働くということ、これは自分に忠実である。利己主義だと思うかもしれないけど、そうではない。人間は人にもよく言われなければ自分が楽しくないという相対的な原理を持っている。
だから他人に、あの人はいい人だ、と言われるのもエンジョイなんだよ。
我われはただ単に、自分だけよければいいと言うのではない。自分をよくするためには人までよくしてやらなければ、自分というものがよくならないのだ、という原則があることを考えて自分をよくしなさいということを申し上げる。
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私は以前から、この本田さんの著書や、松下幸之助さんの本は経営学ではなく、人間学を語っていると思っています。なぜ人間学なのか?(他の多くの偉大な経営者もそうだと思いますが)サービスや売上げだけが企業価値なのではなく、もっと大事でベースにあるのは、企業としての思想や精神、そしてそこに働いている人々である、人として大切なことは?と常々言われているところにあると思っています。
特に、本田さんや、松下さん、井深さんなど戦後に発展してきた日本を代表する企業のトップの3方を見ると、皆さん技術屋なんですね。当時は敗戦の影響もあり国力がなく、お金もなかった時代の中で、次世代に大切なのは資本力ではなく、事業経営のアイデアである。ということを見抜き、一心不乱にものづくりをしてきた。そしてそれが今の日本を支えているという事実がある。経営者としての未来を予測する先見性や本質を見極める力、総じて人間力と言うんでしょうか-はたいへん勉強になります。
今と時代は違えども、皆さん仰られていることに共通点ある。それだけにその共通点に経営というか、それを通してどのように成長、自己実現をしていくのかというヒントがあるのだと思わずにはいられません。
私も上のように、自分のために働き、後世にも語り継がれていく企業を創り上げたいものです。
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